内見を予約するとき、何を伝えておけばいい?
伊藤 眞子
予約の電話でいろいろ聞かれると、戸惑いますよね。私たちが先にうかがうことと、その理由を書きました。
目次
お客様
見たい部屋があって電話したのに、先にいろいろ聞かれて戸惑いました。
内見の予約をいただいた方から、こうしたお話を伺うことがあります。私たちは、物件の説明より先にいくつか質問をさせていただいているからです。少し回りくどく感じる方もいるかもしれません。
それでも先にうかがうのは、内見の一日を無駄にしてほしくないからです。見に行ったけれど決め手がなかった、という結果の多くは、予約の時点で整理できることだと感じています。
予約のときにお伝えいただきたいのは、住み始めたい時期、ゆずれない条件と予算、その日に申し込むつもりかどうかです。この記事では、その理由をまとめました。
予約の電話で、最初に何を聞かれるの?
担当・伊藤
いちばん先にうかがうのは、物件の条件ではなく「いつから住み始めたいか」です。
時期によって、見るべき物件そのものが変わるからです。
いま空いている部屋は、申し込めばすぐに住み始められます。そのかわり、家賃が発生する日も早く来ます。一方、今の入居者がこれから退去する予定の部屋は、内見ができないまま申し込むこともあります。どちらが合うかは、今のお住まいの解約予告の期限と、引っ越せる時期で決まります。
住み始めたい日は、早すぎても遅すぎても困るものです。早すぎると今の部屋と家賃が重なる期間が長くなり、遅すぎると気に入った部屋が先に埋まってしまいます。
お客様
引っ越したい気持ちはあるんですが、時期はまだ決めていなくて。
担当・伊藤
まだ決まっていなくても大丈夫ですよ。時期によって、見ていただく部屋が変わるので先に伺っているんです。
お客様
そうだったんですね。何から考えればいいですか?
担当・伊藤
今のお部屋の契約書で、解約の条文を先に読んでみてください。何日前に伝えるかが分かれば、住み始められる日も見えてきます。
目安の日付を一つ決めておくだけで、私たちも提案できる部屋の幅が広がります。
条件が多くて、絞りきれないときは?
担当・伊藤
ゆずれない条件を3つまでに絞って、ゆずってもよい条件も聞かせてください。
駅からの近さや広さ、築年数、日当たり、設備まで全部を満たす部屋は、予算の中にはなかなかありません。
3つに絞ると、内見のときに見るべき場所がはっきりします。たとえば日当たりがゆずれない方なら内見の時間を昼間に合わせ、音が気になる方なら夜の様子や前の道の交通量も見ておきます。条件が決まっていれば、私たちもそれに合わせた見方をご案内できます。
反対に、ゆずってもよい条件もうかがいます。「築年数は気にしない」「駅から少し遠くても、自転車があれば平気」。そうした答えがあると、候補に入れられる部屋の数が大きく増えます。思っていたより良い部屋が、ゆずってもよい条件の側から見つかることは少なくありません。
予算も、ここで一緒に確かめます。管理費や共益費を含めた毎月の額でうかがうのが、私たちの決まりです。家賃だけで探すと、管理費の高い部屋が候補に入ってしまい、内見の後で予算に合わないと分かることがあります。
広告の言葉や空き状況は、そのまま信じていいの?
担当・伊藤
言葉は表示の決まりを知ってから読み、空き状況は内見の前に私たちから確かめてお伝えします。
予約の前に、物件の広告を一緒に読み直すこともあります。不動産の広告には、業界の公正競争規約で表示のしかたが決められている言葉が多いからです。
たとえば「駅から徒歩5分」という表示です。規約の施行規則では、徒歩の時間は道路の距離80メートルを1分として計算し、1分に満たない端数は1分に切り上げます。数え始めはアパートやマンションなら建物の出入口、終わりは駅の出入口です。信号の待ち時間や坂道は、この計算に入っていません。実際に歩くと、表示より長くかかることもあります。
「新築」という言葉にも決まりがあります。規約では、建物が完成してから1年未満で、まだ誰も住んだことがないものだけを新築と呼べます。電車の所要時間は、朝の通勤ラッシュの時間帯で示します。乗り換えがあれば、乗り換えにかかるおおよその時間も含めます。
管理費や共益費も、1戸あたりの月額を表示することになっています。広告の家賃の横にこの数字が見当たらないときは、予約の電話で遠慮なく聞いてください。
言葉の次は、空き状況です。予約をいただいたら、私たちは内見の前に必ず空室かどうかを確かめます。広告に出ている部屋が、すでに申し込みで埋まっていることがあるからです。
実際には借りられない物件の広告は「おとり広告」と呼ばれ、規約で禁じられています。物件が存在しない、存在しても取引の対象にならない、取引する意思がない。この3つが当たります。国土交通省は2023年の通知で、成約した物件の広告をすぐに消さずに載せ続けることも、おとり広告に当たると示しました。
おせっかい不動産では、自社開発のAIが掲載中の物件の空き状況を毎日確かめ、申し込みが入った時点で広告を取り下げています。それでも、ほかの会社が載せている同じ物件の広告まで、すぐに消えるとは限りません。ですから「まだ空いていますか」と聞かれる前に、「この部屋はまだ空いています」と私たちからお伝えしています。空室が確かめられないまま内見の日を迎えるのは、できるだけ避けたいからです。
内見の当日は、何件くらい回れるの?
担当・伊藤
移動の時間を考えると、1日に3件から4件ほどが無理のない数だと考えています。
その数に収まるよう、条件が決まったら内見の時間帯と回る順番を一緒に考えます。
時間帯は、ゆずれない条件に合わせて選びます。日当たりを見たい方は晴れた日の昼間に、夜の帰り道が心配な方は夕方以降に駅から歩いてみるのがお勧めです。同じ部屋でも、時間帯が変わると印象がずいぶん変わります。
当日の持ち物もお伝えしています。家具の置き場所を測るメジャー、写真を撮るためのスマートフォン、そして物件の間取り図です。今使っている家具やカーテンの寸法をメモしておくと、その場で入るかどうかを確かめられます。冷蔵庫や洗濯機の置き場所の幅は、測り忘れが多いところです。搬入の通り道になる玄関や廊下の幅も、あわせて測っておきましょう。
気に入ったら、その日に申し込んだほうがいいの?
担当・伊藤
その日に決めるつもりかどうかで準備が変わるので、予約のときに決めておきます。
最後にうかがうのは、「気に入ったら、その日に申し込みますか」です。人気のある部屋は、内見の翌日には別の方の申し込みが入っていることもあります。
決める前に知っておきたいのは、申し込みと契約が別のものだということです。申し込みは「この部屋を借りたい」という意思を伝える段階で、貸主の審査を経て契約に進みます。申し込みのときに、預り金を払うことがあります。宅地建物取引業法の施行規則は、申し込みを撤回したときに、不動産会社が預り金の返還を拒むことを禁じています。ただし、契約が成立した後は話が別です。
お客様
気に入っても、その場で決めきれるか分からなくて…。
担当・伊藤
迷いますよね。決めきれないときは、無理に申し込まなくてかまいません。
お客様
よかった。その日に申し込むなら、何を持っていけばいいですか?
担当・伊藤
身分証と、収入を確かめられる書類、勤務先の情報を用意しておいてください。手続きが早く進みます。
決めきれなかったときは、気になる点をその場で書き出しておいてください。次の内見で確かめることがはっきりします。迷っている理由が分かれば、私たちも次に紹介する部屋を選びやすくなります。
内見の一日は、予約の電話から始まる。
予約の電話で質問が多いのは、内見の時間を「見るだけ」で終わらせないためです。住み始める時期とゆずれない条件、広告の読み方の3つを整えてから、内見の日を迎えてみてください。予約のときの数分の会話が、部屋選びの近道になります。
よくある質問
内見の日に、何を持っていけばいいですか?
メジャーとスマートフォン、物件の間取り図です。今の家具やカーテンの寸法もメモしておくと、その場で入るかを確かめられます。
申し込んだ後に取りやめたら、預り金は戻りますか?
宅地建物取引業法の施行規則で、申し込みを撤回したときに不動産会社が返還を拒むことは禁じられています。契約が成立した後は話が別です。
広告に管理費が書いていないときは、どうすればいいですか?
管理費や共益費は、1戸あたりの月額を表示することになっています。見当たらないときは、予約の電話で遠慮なく聞いてください。



