「ペット可」と「ペット相談可」は、何が違うの?
八木澤 竜也
「ペット相談可」の部屋は、問い合わせるのも少し不安ですよね。契約書と規約で確かめるところを書きました。
お客様
「ペット可」と「ペット相談可」、どちらで探せばいいんでしょう。
犬や猫と暮らせる部屋を探している方から、こうしたお話を伺うことがあります。迷うのは、部屋の広告にこの2種類の書き方があるからです。
ペットと暮らす部屋探しは、契約書の条文や建物の決まり、退去のときの費用など、確かめることが多くなります。この記事では、窓口でよくいただく質問と、私たちのお答えを順に並べました。
※この記事は、お部屋探しのご相談でよくいただく質問をもとにした例です。特定のお客さまとのやりとりではありません。
「ペット可」と「ペット相談可」は、何が違うの?
担当・八木澤
実は、この2つの言葉に決まった定義はありません。
不動産の広告のルールである公正競争規約や、その施行規則にも、ペットについての定めは見当たりませんでした。
言葉の印象から、「ペット可」は飼うことが前提の部屋、「ペット相談可」は条件しだいの部屋と受け取る方が多いようです。ただ、それは決まりではなく、物件ごとに使い方が違います。「ペット可」と書かれていても、犬は小型だけ、1匹まで、といった条件が付くこともあります。
ですから、言葉の違いで選ぶより、条件の中身を確かめるほうが確実です。私たちは、飼っている動物の種類と大きさ、数を、物件を探す前にうかがっています。
お客様
「ペット相談可」と書いてあると、断られそうで問い合わせにくいんです。
担当・八木澤
分かります。言葉に決まった定義がないので、聞いてみないと分からないんです。
お客様
そうなんですね。何を伝えればいいですか?
担当・八木澤
動物の種類と大きさ、数を先に教えてください。僕から貸主に、そのままお伝えします。
飼っていいかどうかは、何で決まるの?
担当・八木澤
標準契約書では犬や猫に貸主の書面の承諾が要り、分譲なら管理規約も関わります。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書を例に見てみます。これは、多くの賃貸借契約の見本として使われているひな形です。
標準契約書では、猛獣や毒蛇など明らかに近隣に迷惑をかける動物の飼育は、禁止される行為の一つです。そのうえで、犬や猫などの動物を飼うことは、貸主の書面による承諾が必要な行為とされています。観賞用の小鳥や魚など、明らかに近隣に迷惑をかけるおそれのない動物は、この承諾の対象に入りません。
つまり、ひな形のままなら、犬や猫は「貸主が書面で認めれば飼える」という扱いです。ただし、こうした決まりを並べた別表は、物件ごとに変えてよいとされています。ペットを認める物件では特約で条件を細かく決めていることが多いので、特約の欄まで必ず読んでください。
約束の残し方には、東京都のガイドラインが触れています。「ペット可」のように交渉で約束してもらったことは、口約束で済ませず契約書に書いてもらうように、という内容です。標準契約書には、承諾が必要な行為についての承諾書の書式例も用意されています。
お客様
内見のときに「大丈夫ですよ」と言われたので、安心していたんですが。
担当・八木澤
そう言ってもらえると、ほっとしますよね。ただ、口約束だけだと後で困ることがあります。
お客様
えっ。どうしておけばいいですか?
担当・八木澤
承諾の内容を、契約書や承諾書に書いてもらってください。
承諾を得ずに飼い始めるのは避けてください。標準契約書では、こうした決まりへの違反も、契約の解除の理由になりえます。貸主から改めるよう求められても応じず、契約を続けるのが難しいと認められる場合です。後から飼うことになったときも、まず貸主や管理会社に相談するのが先です。
分譲マンションの部屋を借りるときは、貸主の承諾に加えて建物の管理規約も確かめてください。貸主との契約とは別に、建物全体の決まりがあるからです。
区分所有法では、部屋を借りて住む人も、建物の使い方について持ち主と同じ義務を負います。管理規約や使用細則でペットが禁じられていれば、貸主が良いと言っても飼えないことになります。
ペットの扱いには、国土交通省のマンション標準管理規約のコメントも触れています。犬や猫などのペットを認めるかどうかは、規約で定めるべき事項だという考え方です。認める場合も、動物の種類や数、管理組合への届け出、共用部分での扱い方などを決めるよう示されています。抱きかかえて移動する、エレベーターは決まった時間だけ、といった細かな決まりがあるマンションもあります。
こうした規約の定めは、契約の前の重要事項説明でも説明されることになっています。説明を受けるときは、ペットの項目を特に注意して聞いてください。
退去のとき、どんな費用がかかるの?
担当・八木澤
ペットによる傷や汚れは、借りた人の負担になりやすい部分です。
国土交通省の原状回復ガイドラインは、ペットによる柱やクロスの傷や臭いについて触れています。こうした場合は、借りた人の負担と判断される場合が多い、という内容です。ふつうに暮らしていてできる日焼けや家具の跡とは、扱いが違います。
ペットを認める代わりに、退去時のクロスの張り替え費用を借りた人の負担とする特約もあります。ガイドラインでも、ペットを認めるためのクロス張り替え費用は、特約の例として挙げられています。
ただし、借りた人に通常より重い負担を求める特約には、有効になるための条件があります。特約が必要な理由があること、そして借りた人が負担の重さを分かったうえで合意していることです。
契約の前に、退去のときに何を負担するのかを確かめておきましょう。入居した日には、床や柱、クロスの状態を写真で残しておいてください。もともとあった傷と、ペットが付けた傷を分けられるようにしておけば、話し合いがずっと楽になります。
内見では、どこを見ればいい?
担当・八木澤
部屋の中と、建物のまわりの両方を見てください。
ペットと暮らす部屋は、人だけで住む部屋とは見るところが少し違います。
部屋の中では、まず床の素材を見ます。傷が付きやすい素材か、足音や爪の音が下の階に響きそうか。気になるときは、マットを敷けるかどうかも含めて考えておきます。ドアや柱、クロスに前の入居者のペットの跡が残っていないかも見ておきましょう。残っていれば、入居の日の写真に必ず写しておきます。
建物では、共用部分の掲示板を見るのがお勧めです。ペットについての注意書きが貼られていれば、どんな決まりで運用されているかが分かります。エントランスやエレベーターの広さ、ゴミ置き場の場所も、毎日の散歩やトイレの始末に関わってきます。
建物の外では、散歩できる道や公園、近くの動物病院を地図で確かめておくと安心です。夜に一度、建物のまわりを歩いてみると、昼とは違う様子も分かります。
引っ越した後に、届け出は要るの?
担当・八木澤
犬を飼っている方は、住所の変更を届け出る必要があります。
狂犬病予防法では、犬の所在地が変わったら、30日以内に新しい住所の市区町村に届け出ることになっています。毎年1回の予防注射も、飼い主の義務です。鑑札と注射済票を犬に着けておくことも決められています。マイクロチップを登録している場合は、届け出の扱いが変わる自治体もあるので、引っ越し先の市区町村で確かめてください。
届け出のほかに、飼い方にも決まりがあります。動物愛護管理法は、飼い主に、動物がその命を終えるまで適切に飼うよう努めることを求めています。人に迷惑をかけないように飼うことも、飼い主の務めとされています。鳴き声や臭い、共用部分での振る舞いは、同じ建物で暮らす方との関係にそのまま響きます。
言葉より、承諾の中身を書面で。
ペットと暮らせる部屋は、まだ数が多いとは言えません。だからこそ、見つかったときに慌てないよう、動物の情報と確かめたいことを先にまとめておいてください。動物の種類、大きさ、数、年齢、予防注射の状況の5つがそろっていると、貸主への問い合わせもスムーズに進みます。私たちも、その情報をもとに貸主への確認からお手伝いします。
よくある質問
小鳥や魚を飼うときも、貸主の承諾は要りますか?
標準契約書のひな形では、観賞用の小鳥や魚は承諾の対象に入りません。ただ、物件ごとに変えてよいとされているので、契約書で確かめてください。
犬の届け出は、引っ越してから何日以内ですか?
所在地が変わってから30日以内に、新しい住所の市区町村に届け出ます。
問い合わせの前に、何をまとめておけばいいですか?
動物の種類、大きさ、数、年齢、予防注射の状況の5つです。



