内見では、部屋の広さのほかに何を見ればいい?
伊藤 眞子
内見の30分で何を見ればいいか、迷いますよね。歩く順番に、見ておきたい場所を書きました。
お客様
家具が置けるか、メジャーで測っておけば大丈夫ですよね?
内見にご一緒していると、こうした声をよく伺います。家具が置けるかどうかは、たしかに大事なことです。
ただ、住み始めてから困るのは、たいてい寸法ではありません。音や水まわり、日当たり、そして建物の共用部分など、どれも図面や写真には写らないものばかりです。
内見の時間は、長くても30分ほどです。この記事では、広さのほかに見ておきたい場所を、歩く順番に沿ってお伝えします。
部屋に入る前に、どこを見ておけばいい?
担当・伊藤
ゴミ置き場と集合ポスト、掲示板に、建物の管理と住む人のマナーが出ます。
内見は、玄関のドアを開ける前から始まっています。ゴミが分別されずに散らかっていたり、ポストからチラシがあふれていたりする建物は、管理が行き届いていないことが多いです。
共用廊下の電球が切れたままになっていないか、自転車置き場が乱雑になっていないかも見ておきます。こうした場所には、住んでいる人のマナーと管理会社の対応の両方が表れます。
エントランスの掲示板も、ひと目見ておいてください。騒音やゴミ出しの注意の貼り紙が何枚も並んでいたら、同じ困りごとが何度も起きているしるしです。
また、オートロックがあっても、ゴミ置き場や駐輪場の出入り口から誰でも入れてしまう建物もあります。入口がいくつあるかも見ておきましょう。
最寄り駅から建物までの道も、自分の足で歩いてみてください。募集図面の「徒歩○分」は、80mを1分として計算した数字なので、信号や坂道、踏切の待ち時間は含まれていません。
お客様
図面には駅から徒歩5分とあったのに、歩いたらもっとかかりました…。
担当・伊藤
そう感じる方、多いんです。信号や坂の待ち時間は、計算に入っていないんですね。
お客様
なるほど。夜に帰ることが多いんですが、途中で見ておくことはありますか?
担当・伊藤
街灯の数と人通りを見ておいてください。スーパーやコンビニがあるかも、毎日の暮らしやすさに直結します。
音や水まわりは、どうやって確かめるの?
担当・伊藤
窓を閉めて1分だけ耳をすませ、水は実際に出して流れ方まで見ます。
まず音です。部屋に入ったら、いったん全員で話すのをやめてみてください。聞こえてくるのは、車の音や隣の部屋の生活音、廊下を歩く足音などです。窓を閉めたときと開けたときの違いも確かめます。
壁を軽くノックしてみるのもひとつの方法です。軽く響くようなら、壁の中が空洞になっているかもしれません。
あわせて、建物の構造も聞いておきましょう。一般に、木造より鉄骨造、鉄骨造より鉄筋コンクリート造のほうが、音は伝わりにくいとされています。上の階の足音は、壁よりも床と天井を通して伝わってきます。最上階や角部屋が人気なのは、音の出どころが少ないからです。
外の音の聞こえ方には、窓が2枚重ねの複層ガラスかどうかも関わります。窓の端を横からのぞけば、すぐに見分けられます。線路や大きな道路のそばなら、平日の夜など、実際に暮らす時間帯にもう一度見に行くのが確実です。時間帯によって、音の大きさが変わるからです。
お客様
前の部屋で隣の音に悩んだので、今回は静かな部屋にしたいんです。
担当・伊藤
それはつらかったですよね。建物の構造を聞いておくと、ひとつの目安になります。
お客様
構造が分かれば、ひと安心でしょうか?
担当・伊藤
同じ構造でも、建物ごとに差があるんです。内見では窓を閉めて、1分だけ耳をすませてみてください。
音を確かめたら、次は水まわりです。キッチンやお風呂、洗面台、トイレは、見た目がきれいでも使ってみないと分からない場所です。案内の担当者に断ってから水を出し、次の3つを確かめてください。
- 水の勢いが弱すぎないか
- 排水口から嫌なにおいが上がってこないか
- 流した水が、たまらずに引いていくか
キッチンは、コンロの口数と調理スペースの広さも見ておきます。まな板を置く場所がないキッチンは、図面では気づきにくいものの、毎日の料理で困ります。給湯器の本体のシールには製造年が書かれていることが多く、古いものは入居後に故障することもあります。
洗濯機置き場は、防水パン(洗濯機の下の受け皿)の大きさと蛇口の高さを必ず測ってください。ドラム式は、置き場に収まっても扉が開ききらないことがあります。冷蔵庫の置き場も同じで、幅だけでなく高さと、運び込むときに通るドアの幅も測っておきます。
日当たりと湿気は、どこを見れば分かるの?
担当・伊藤
向きの表示より、窓の外の建物と、押し入れの奥や窓まわりの黒ずみを見ます。
「南向き」と書かれていても、目の前に高い建物があれば日は入りません。窓を開けて、外に何が建っているかを見てください。
向きの良しあしは、暮らす時間帯でも変わります。西向きの部屋は、夏の午後に室温が上がりやすくなります。北向きの部屋は直射日光が入りにくい分、明るさが一日を通して安定しています。昼間は仕事で家にいない方なら、向きより夜の静かさを優先する選び方もあります。
続いて、ベランダにも出てみましょう。洗濯物を干す場所は足りるか、隣の建物から丸見えでないか、室外機が場所を取りすぎていないかを見ておきます。
一方、湿気のサインは目立たない場所に出ます。押し入れやクローゼットの奥、窓のサッシのまわり、北側の部屋の壁の隅などです。黒い点のようなカビの跡や、壁紙の浮きがないかを見てください。窓枠の下のゴムに黒ずみがあれば、冬に結露しやすい部屋だと考えられます。扉を開けてこもったにおいがするなら、湿気がたまりやすいのかもしれません。
晴れた日の内見では、どの部屋も明るく見えます。雨の日は避けられがちですが、湿気や雨漏りの跡を見るにはむしろ向いています。
今ある傷や気になることは、どう残せばいい?
担当・伊藤
気になる傷はその場で撮り、直してもらえるかの返事は契約の前にもらいます。
床の傷や壁紙の汚れ、閉まりの悪い扉など、入居前からあるものは記録を残しておく必要があります。退去のときに、自分が付けた傷だと思われないためです。
そこで内見では、気になった箇所をスマートフォンで撮っておきます。入居が決まったら、鍵を受け取った日にもう一度、部屋全体を撮ってください。撮った日付が残るので、入居前からあった証拠になります。写真は管理会社にもメールで送っておくと確実です。送った日付と相手が残り、あとで話がこじれにくくなります。
傷のほかに、設備も確かめておきます。玄関の鍵は、前の入居者が退去したあとに交換しているかを聞いておきましょう。交換するなら、その費用を誰が持つのかも確かめます。コンセントの位置と数やテレビ端子の場所、部屋の奥での携帯電話の電波の入り具合も見ておくと安心です。
気になったことは、その場で聞いてください。「この傷は、入居前に直してもらえますか」「前の方は、どれくらい住んでいましたか」。2つ目は聞きにくい質問ですが、短い期間で住む人が何度も入れ替わっている部屋には、何か理由があるかもしれません。
直してもらえるかどうかの返事は、契約の前にもらっておいてください。入居してからでは、話を聞いてもらいにくくなります。
お客様
前の方がどれくらい住んでいたかなんて、聞いたら失礼じゃないですか?
担当・伊藤
聞きにくいですよね。でも答えから見えてくることがあるので、私は聞いていいと思っています。
お客様
聞いてみます。床の傷も少し気になっていて…。
担当・伊藤
その場で撮っておきましょう。直してもらえるかの返事は、契約の前にもらってくださいね。
内見の前に、下の表を見返してみてください。
| 見る場所 | 確かめること |
|---|---|
| 建物のまわり | ゴミ置き場、集合ポスト、掲示板の貼り紙、駅からの道 |
| 音 | 窓を閉めたときの静かさ、壁の響き、建物の構造 |
| 水まわり | 水の勢い、排水口のにおい、洗濯機と冷蔵庫の置き場の寸法 |
| 日当たりと湿気 | 窓の外の建物、ベランダ、押し入れの奥のカビ |
| 傷と設備 | 今ある傷の写真、鍵の交換、コンセントと電波 |
寸法より、写真に写らないものを見る。
30分の内見で、住んでからの毎日が変わります。
よくある質問
内見には、何を持っていけばいいですか?
メジャーとスマートフォン、それにこの記事のメモがあれば十分です。
雨の日の内見は、避けたほうがいいですか?
避けなくて大丈夫です。湿気や雨漏りの跡を見るには、むしろ向いています。
部屋の傷は、いつ写真に撮ればいいですか?
内見で気になった箇所を撮り、鍵を受け取った日に部屋全体をもう一度撮ってください。



