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居抜きの厨房設備は、そのまま使っていいの?

開業と物件さがし 約4分で読めます

おせっかい度 まぁまぁ、おせっかい

八木澤 竜也

設備がそろった厨房を見ると、すぐ開けそうに感じますよね。契約の前に、持ち主を確かめる順番を書きました。

目次
  1. 残っている設備は、誰のものなの?
  2. 「造作譲渡あり」なら、金額は決まっているの?
  3. 前と業態が変わっても、電気やガスは足りるの?
  4. 造作は、まとめて全部引き取ったほうが得なの?
  5. 契約の前に、何をもらっておけばいい?
  6. よくある質問

お客様

これなら、来月から営業できますね。

空いたばかりの飲食店をご案内したとき、厨房に入ったお客様がそう言ったことがあります。冷蔵庫もフライヤーも、前のお店のものが揃っていたからです。

気持ちはよく分かります。ただ、僕はそこで一度だけ待っていただきました。居抜き(前のお店の内装や設備が残ったままの物件)で残っている設備は、そのまま使えるとは限らないからです。理由は、持ち主が1人ではないことにあります。

この記事では、これから店を開く方に向けて、残った設備の持ち主の見分け方と、契約の前に確かめることをお伝えします。

残っている設備は、誰のものなの?

担当・八木澤

同じ厨房に並んでいても、貸主・前の借主・リース会社と、機器ごとに持ち主が違います。

持ち主が違えば、引き継ぐときの話も変わります。表の「造作譲渡」は、前の借主から設備などを買い取ることです。

持ち主 よくあるもの 引き継ぐときの話
貸主(オーナー) 給排気、空調、給湯 賃料に含まれることが多い
前の借主 冷蔵庫、製氷機、什器 造作譲渡として別に買う
リース会社 食洗機、POSレジ 引き継げない。契約を結び直す

このうち、いちばん見落とされるのが3つ目のリース会社です。リース品は前の借主のものではないので、譲ってもらうことができません。そのため撤去されると、そこだけ穴が空きます。

お客様

食洗機もレジも置いてあるので、そのまま使えるつもりで予算を組んでいました。

担当・八木澤

並んでいると、そう見えますよね。ただ、食洗機やPOSレジはリース品のことがよくあるんです。

お客様

リースだったら、どうなるんですか?

担当・八木澤

前の借主さんからは引き継げないので、契約を結び直すことになります。内見のときに、どれがリースかを聞いておきましょう。

「造作譲渡あり」なら、金額は決まっているの?

担当・八木澤

決まっていないことも多く、金額は前の借主と話し合って決めます。

募集図面に造作譲渡と書かれていると、条件が固まっているように見えます。ところが実際は、「前の借主と相談してください」という意味であることも少なくありません。

そのため、金額の交渉相手は貸主ではなく前の借主です。前の借主が退店を急いでいるほど、また次の借り手が決まらないほど、借りる側は強気に交渉できます。

ここで大事なのは、造作の金額が決まる前に契約を進めないことです。順番が逆になると、設備代を含めた総額が読めないまま、賃貸借契約の判断をすることになります。

お客様

造作の金額がまだ決まっていないんですが、物件は押さえておきたくて。先に契約しても大丈夫ですか?

担当・八木澤

いい物件ほど、急ぎたくなりますよね。ただ、先に進めると総額が読めないまま決めることになります。

お客様

たしかに、設備代しだいで予算が変わります。

担当・八木澤

前の借主さんと金額を決めてから、契約に進みましょう。その順番なら、総額を見てから決められます。

前と業態が変わっても、電気やガスは足りるの?

担当・八木澤

業態が変わると足りなくなることがあり、容量を増やす工事には貸主の承諾が要ります。

たとえば、前がカフェで、次がラーメン店だとします。同じ飲食店でも、必要な火力と電気の容量はまったく違います。

容量を増やす工事は、建物全体の設備に手を入れることになるため、貸主の承諾が要ります。また、承諾が下りても、費用は借主負担が原則です。

そこで内見のときに、分電盤とガスメーターを写真に撮っておいてください。数字が読めれば、工事業者に事前に相談できます。

造作は、まとめて全部引き取ったほうが得なの?

担当・八木澤

使う予定のないものは、引き取らない交渉をしたほうが結果的に安く済みます。

造作譲渡は一式でまとめられることが多く、使わない機器まで含まれがちです。

使わない機器でも、引き取った瞬間からあなたの持ち物になります。そのため故障すれば修理代がかかり、退去時には撤去費用もかかります。

つまり「全部もらえてお得」ではなく、「必要なものだけもらう」と考えるかどうかが分かれ道です。

契約の前に、何をもらっておけばいい?

担当・八木澤

設備の一覧と、それぞれの持ち主を書いた紙をもらってください。

設備の持ち主は、口頭の確認だけで進むことが多い部分です。ただ、引き渡しの当日に「これは持っていきます」と言われても、書面がなければ止められません。紙にしてもらう手間は10分です。

その第一歩として、内見で厨房を見たら、まず一言だけ聞いてみてください。

「これは、どなたのものですか」

この質問ひとつで、見えていなかった費用が先に出てきます。

引き取る前に、持ち主を聞く。

よくある質問

リースの食洗機も、前の借主から譲ってもらえますか?

譲ってもらえません。リース品は前の借主のものではないので、使うなら契約を結び直します。

造作の金額は、誰と話し合えばいいですか?

貸主ではなく、前の借主です。金額が決まってから、賃貸借契約の判断に進んでください。

電気の容量を増やす工事は、借主だけで決めていいですか?

建物全体の設備に手を入れるので、貸主の承諾が要ります。承諾が下りても、費用は借主負担が原則です。