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借りる物件に、看板は出せるの?

立地とエリア 約7分で読めます

おせっかい度 かなり、おせっかい

山内 祐人

看板の形を考え始めると、楽しくなりますよね。作る前に、出せるかどうかの確かめ方を書きました。

目次
  1. 看板を出していいかは、誰が決めるの?
  2. 自分の店の看板でも、許可が要るの?
  3. 袖看板や置き看板は、店先に出してもいいの?
  4. 契約の前に、貸主に何を聞けばいいの?
  5. 看板には、作る以外にどんなお金がかかるの?
  6. よくある質問

お客様

内装と一緒に、看板もこのくらいの大きさで作ろうと思っているんです。

店舗の内見の帰り道に、こうしたお話を伺うことがよくあります。私たちはそこで、つい口を挟んでしまいます。その看板、まだ出せると決まったわけではないからです。

看板は、自分のお金で作って自分の店に付けるものです。それでも、付けてよいかを決めるのは自分だけではありません。この記事では、借りる物件に看板を出せるかを、契約の前に確かめる順番でまとめました。

看板を出していいかは、誰が決めるの?

担当・山内

建物の持ち主の承諾と、自治体の条例の2つです。

ひとつ目は建物の側です。外壁や袖看板の取り付け場所は、建物の持ち主のものです。どこに、どの大きさで付けてよいかは、貸主との取り決めで決まります。ビルによっては、看板の位置や枠があらかじめ用意されていることもあります。

1階の入口にテナントの名前を並べる案内板があるビルを例にします。2階より上の店は、その一枠と袖看板の一段しか使えない、という決まりも珍しくありません。ここは内見で必ず見ておきたいところです。

お客様

気に入った物件が2階なので、看板は大きく出したいんです。

担当・山内

上の階だと、看板が頼りになりますよね。ただ、出せる場所はビルの決まりしだいなんです。

お客様

そうなんですね。内見では何を見ればいいですか?

担当・山内

1階の入口の案内板と、袖看板の枠を見ておいてください。

ふたつ目は自治体の側です。屋外広告物法は、看板の規制を都道府県の条例に任せる作りになっています。禁止する場所や許可が必要な看板、形や色の基準は、条例で定められます。政令指定都市や中核市は、自分の市で事務を担います。同じ看板でも、街が変われば扱いが変わります。

この2つは別々に動いています。貸主が「どうぞ」と言っても、自治体の許可が要ることはあります。反対に、条例の範囲に収まる看板でも、貸主が認めなければ付けられません。両方を確かめて、ようやく看板の計画が立ちます。

自分の店の看板でも、許可が要るの?

担当・山内

東京都なら、合計の面積が地域の上限を超えると許可が要ります。

自分の店の名前や商売の中身を、自分の店に出す看板は「自家用広告物」と呼ばれます。東京都では、この自家用広告物は合計の面積が一定以下なら許可が要りません。ただ、その上限は地域で違います。

東京都の案内では、商業地域や近隣商業地域などは合計10㎡以下まで許可が要りません。一方、低層や中高層の住居専用地域、風致地区などは合計5㎡以下です。地域によっては、屋上への取り付けや壁からの突き出し、光の点滅や赤い光の使用が禁じられています。面積だけ見て安心はできません。

物件がどの地域に当たるかは、自治体の都市計画の地図で調べられます。駅前の商店街から一本入っただけで住居系の地域に変わる、ということもあります。

お客様

候補が商店街から一本入った場所なんです。看板の決まりは同じですか?

担当・山内

すぐ近くなら、同じに思えますよね。ただ、決まりは地域ごとに違うんです。

お客様

地域で変わるんですね。どう調べればいいですか?

担当・山内

住所を教えていただければ、都市計画の地図で私も一緒に確かめます。

許可が要る場合、23区では区の屋外広告物の担当が窓口です。許可を受けてから工事に入る決まりで、申請には手数料がかかります。東京都の案内では、広告板の許可期間は2年以内です。続けて出すには、期間が切れる前に継続の手続きが必要になります。

ほかの街では、数え方そのものが違います。大阪市では、自家用の看板は1物件あたり7㎡を超えると申請が必要です。京都市は市内全域を規制の対象にしていて、自家用でも合計2㎡を超えると許可が要ります。屋上の看板や点滅する照明も、市内全域で禁じられています。

袖看板や置き看板は、店先に出してもいいの?

担当・山内

道路にはみ出す看板には道路の許可が要り、置き看板は道路には置けません。

建物の壁から道路の上へ突き出す袖看板は、道路を使うことになります。道路法では、広告塔などを道路に設けて使い続けるときは、道路管理者の許可が要ります。あわせて、警察署の道路使用許可も必要です。日よけのテントも、道路にはみ出せば同じように扱われます。

道路の占用には占用料がかかります。東京都板橋区の案内では、看板の占用許可の期間は通常5年とされています。看板を作り直すときや、店を移るときにも手続きが関わってきます。

店先の歩道に置く置き看板やのぼりは、さらに厳しく見られます。国土交通省の国道事務所は、置き看板や立て看板を道路に置いてはいけないものとして挙げています。名古屋市も、道路上の置き看板やのぼりは不法な占用だとしています。「少しだけなら」が通らないのが道路です。

開店前の計画書に「入口横に置き看板」と書かれているのを、私たちはよく見かけます。敷地の内側に置けるのか、置けるならどこまでが敷地なのか。図面と現地で境目を確かめてから、置き看板の出番を考えてください。

契約の前に、貸主に何を聞けばいいの?

担当・山内

付けてよい場所とビルの決まり、許可申請の承諾書、退去のときの戻し方です。

看板の話は、申し込みの前に聞くのがいちばん通りやすいと感じています。契約の後だと、貸主にとっては「すでに決まった条件の追加」になるからです。私たちが貸主や管理会社に確かめているのは、次のようなことです。

  • 外壁、袖看板、窓まわりのどこに看板を付けてよいか
  • 大きさや色、照明について、ビルとしての決まりがあるか
  • 前の入居者の看板の枠や下地を、そのまま使えるか
  • 自治体への許可申請に付ける承諾書を出してもらえるか
  • 退去のとき、看板と取り付けの跡をどこまで戻すか

4つ目の承諾書は見落とされがちです。東京都の案内では、他人が持つ建物に看板を出すときは、許可の申請に持ち主の承諾書を付けます。貸主の協力がなければ、許可の申請そのものが進みません。

5つ目の退去のときの扱いも、いま決めておく価値があります。外壁に開けた穴や、照明のための配線をどうするか。店舗の原状回復は、住まいとは違う決まりで進むことが多いからです。聞いた答えは、口約束にせず契約書や覚え書きに残してもらいましょう。

看板には、作る以外にどんなお金がかかるの?

担当・山内

届け出る・外すお金と、出した後の手入れの手間もかかります。

開業の見積もりで、看板は「製作と取り付け」の一行にまとめられがちです。私たちは、作る・届け出る・外すの3つに分けて書き出していただくようお願いしています。

まず届け出るお金です。東京都の案内では、広告板の許可申請の手数料は表示面積5㎡までごとに3,220円です。ただし区や市が許可する看板は、それぞれの区や市が手数料を決めているので、額が違う場合があります。道路にはみ出す看板なら、ここに道路の占用料が加わります。

次に外すお金は、何年も先の話に見えます。それでも、退去のときに看板を外し、壁の穴をふさぐ工事は避けられません。契約の前に戻し方を決めておけば、この費用も最初から見込めます。

さらに、出した後の手入れもあります。東京都では、一定の大きさの広告塔や広告板には、屋外広告物管理者を置くことになっています。管理者になれるのは、建築士や電気工事士、屋外広告士などの資格を持つ人です。

許可を続けるときは、点検の結果を報告します。東京都は2026年4月に点検の決まりを改めました。許可申請の前3か月以内に点検し、点検の項目も増えています。判定が「要改善」なら、補修をしてから申請します。看板の費用を考えるときは、作る費用だけでなく、この手入れの手間も入れておいてください。

看板は、借りる前に聞くもの。

看板は、店を開く日から閉じる日までの道具だと考えておくと、見積もりの漏れが減ります。店の前を通る人が最初に目にするもので、名前を覚えてもらえるかどうかは、看板の位置と大きさで大きく変わります。物件を決める前に、「ここに、この看板を出せますか」と聞いてみてください。答えが曖昧なら、それも物件を比べる材料の一つです。

よくある質問

看板の許可は、一度取ればずっと使えますか?

東京都の案内では、広告板の許可期間は2年以内です。続けるには継続の手続きが要ります。

道路にはみ出す看板は、どこの許可が要りますか?

道路管理者の許可と、警察署の道路使用許可の両方が要ります。

退去のとき、看板はどうなりますか?

看板を外し、壁の穴をふさぐ工事は避けられません。戻し方は契約の前に決めておきます。